2007 岐阜県立可児工業高等学校 ソーラーカー製作 レポート

 

                                             岐阜県立可児工業高等学校 機械科 市橋栄治

 2006年モデルは、新しい工法を取り入れ製作したが、ボディ強度の不足が原因で走行できず、
結果8周で終わってしまった。しかし、新工法を試したおかげで今年のマシンに生かすことができました。
そのことは後程触れます。

 1. 設計

 基本寸法を、全長 4200mm、全幅 1720mmとし、設計した。重量バランス・空気抵抗等を
考慮しながら行った。

図面を基に、約1/11のスケールモデルを下の写真のように作成した



 2. 製作(フレーム)


図面を基に各部品を作成した。


 左の写真のように、各部品を“フライス盤”を使い、図面どおりに仕上げた。
各部品の精度は0.1mm以下で生徒達が仕上げた。

先程述べた“新工法”は、フレームの精度を上げるため下の写真のようにそれぞれ組み合わせるところに
“切欠き”を入れ組み合わせることにより、各部品のズレが無くなり精度の良いフレームが完成する。


 昨年は、“エポキシ”で接合したが、今年は、強度を上げるため“溶接接合”とした。“アルミ溶接”
はどうしても“ひずみ”が生じるため、上記の工法で行えば、大切な寸法のところはひずみが無く、
あまり精度が必要でないところで生じるため、“ごまかし”が利用できる。

 昨年は、この“溶接ひずみ”を何とか打開できないものかと“エポキシ”で接合したが、このソーラーカー
はそんなに甘くは無かった。

アルミ材質は、角パイプはA6063、測板と軸受け部はA5083、底板はA2017を使用した。

しかし、A2017は薄く、しかも溶接に適さない材質のため、パイプフレームとの接合は、“エポキシ接着
剤GM−5520”を使用して接合した。




 3. 製作(ボディ)


 昨年は“発泡スチロールとガーゼ”で製作したが、素人のためボディ強度が弱くすぐにひずみが生じたため、
今年は“芯”となる素材を変更した。

“押出し法ポリエスチレンフォーム”を芯材とすることにした。商品名は「※ネ※イトフォーム スーパーEI
」というもので、「※タ※ロフォーム」とは違い、非常に目が細かいもので、ペーパーをかけると表面がとても
綺麗になる。

写真は、上(水色)は「※タ※ロフォーム」下(肌色)は「※ネ※イトフォーム スーパーEI」である。

上(水色)は「※タ※ロフォーム」
下(肌色)は「※ネ※イトフォーム スーパーEI」



写真では分かりにくいかもしれませんが、素材が全く違い触ってみるとすぐ分かりますが、「※タ※ロフォーム」は“ザラザラ”、「※ネ※イトフォーム スーパーEI」は“すべすべ”という感じです。また、曲げに対しても十分対応するので使い勝手がよく、表面の状態が非常に綺麗なため、形状を整えたらすぐ“エポキシ”に行ける。


 しかも、気泡が多くあるため、エポキシ樹脂「どんぐりコロコロ」を表面に塗ると、1回目の塗りで、
「※ネ※イトフォーム スーパーEI」の中に浸み込む為、表面は艶がない状態になる。そして硬化させると、
左下の写真のように表面に“気泡”ができる。多分「※ネ※イトフォーム スーパーEI」の中にある気泡に
エポキシ樹脂が浸み込み、その時に追い出された空気がこの気泡を作っているのだと思う。その“気泡”をペ
ーパーで表面を滑らかにした後、2回目のエポキシ樹脂を塗ると下写真のように綺麗になる。


完成したフレームに合わせて切り出す。

必ず、形状の確認を成型ごとに行い、失敗の無いよう慎重に作業を進める。

  この時、左右別々に作り、シャーシに固定するときに、左右も一緒に固定する

ボディの底面貼り合わせ完成。 


 側面の板と、補強用の板とを図面どおりの位置に貼り付ける。ここで、「ボディ上面と下面とが分かれる」
ことを必ず頭の中に入れてそれぞれの部材の形状を決定しなければならない。どのように上下分けるのかをこ
こでしっかりと形にしなければ上面の板を貼り付けてからだと後壊すしかなくなってしまう。ここで必ず上下
分かれることを確認してから上の板を貼り付ける。


ここで必ず上下分かれることを確認してから上の板を貼り付ける。


ボディの上面を貼り付け、成型して下準備完了。

1回目のエポキシ樹脂塗り



エポキシ樹脂乾燥後、表面を滑らかにするため、ペーパーをかける。

2回目のエポキシ樹脂を塗って完成

キャノピーの製作

 キャノピーは「※ネ※イトフォーム スーパーEI」を重ねて作成したため左写真のように凹みができてし
まった。
 そこで「3M グラスバブルス」とエポキシ樹脂「どんぐりコロコロ」を混ぜ合わせ、水より軽い“パテ”
を作り凹みに埋め、成型した。








 
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